泉谷結
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今回お話を伺うのは、株式会社meguri代表取締役の杉本綾弓さんです。杉本さんは店舗マネジメント、販売員チーフを経て、IT業界に転職。今までの業種は約20種類。
いくつもの会社の”人と仕組みのあり方”を見てきた経験を活かし、現在は業務改善コンサルティング事業を中心とした会社を経営している、スゴ腕の女性社長です。そんな杉本さんに会社設立までの経緯と、仕事と育児の両立の極意を伺いました。
プロフィール
16歳より小売業で採用・新店立上げ・店舗マネジメントを行う。
その後、百貨店のテナントでチーフとなり、予算・前年比割れが一度もなく、次々と売上不振店を立直す。
10年の販売職を経てIT業界に転職。物販審査管理部門の立上げ、地域に焦点を当てたマーケティング・プロモーションなどに従事。オフライン・オンラインでのセールス経験を活かし、中小企業向けコンサルティングを中心とした事業展開で2014年に独立。
また、病・出産をきっかけに、サステナブルな働き方・手触り感のある暮らし方に価値を置くようになる。1児の母。
独立するまでの経緯
──杉本さんのご経歴を教えていただけますか?
杉本さん:
16歳からBOOKOFF(中古の本屋チェーン店)でアルバイトとして勤務して、17歳から採用、18歳から店舗マネジメントの仕事をしていました。通信制の大学に行っていた時期もありましたが、働くことが楽しくて、結局辞めてしまいましたね(笑)。
その後、コスチュームジュエリーや宝飾品の販売職へ転職をして、チーフへ昇進。小売業時代はBOOKOFFから換算すると約10年でしたが、予算達成率100~150%達成維持、前年対比300%という結果を出したこともあります。
とにかく、お客様に対して徹底的に想いを馳せるということを心掛けていました。
例えば、お客様が結婚式で使用するアクセサリーを求めていたとして、自分の店舗にご要望の商品がないのであれば、同ビルの他店や同じエリアの別の商業ビルで相応しいと思うものをご紹介させていただきました。「商品を購入してもらいたい」ではなく「その方に対して役に立ちたい。その結果が売上である」と考えて行動して、百貨店の接客優秀賞をいただいた経験もあります。
──すごいですね。その後の道のりも聞かせていただきますか?
杉本さん:
25~6歳まで販売の仕事を経験したあと、IT業界に転職します。何社か経験しましたが、物販審査管理部門の立上げや、WEBマーケティング・プロモーションなどの仕事をしていました。24歳で結婚したのですが、当時のプライベートでは自分にちょうどいい暮らしをテーマにしたウェブマガジンの運営や、女性の働きかた・生き方を応援するイベントの主催などにも挑戦していました。
ちょうど、これからの自分自身のありかたを模索していた時期でしたね。その後、29歳でフリーランスになり、30歳で子どもを授かったことで会社を設立することに決めました。
──会社設立後は、どんなお仕事をされていますか?
杉本さん:
「人間らしく豊かに生きるひと」を増やすために、働くことと暮らすことをデザインする“Life design Company“を経営しています。主な仕事は、生活を支える分野(衣食住・医療・福祉・教育・エネルギーなど)の課題を抽出して、提案をして解決をする業務改善コンサルティング事業、バックオフィスのアウトソーシング事業の2つです。
会社員から独立して女性経営社へ
──妊娠をして独立をしようと思ったは理由なんですか?
杉本さん:
10代のころから独立はしようと考えていましたが、踏み切った理由は2つあります。1つ目は、より時間のコントロールを自分でしたかったこと。2つ目は5年後を考えたとき、フリーランスとしての35歳と、会社を経営する35歳。両方を想像したときに会社をつくたほうが次のステップが見えるし、つくりたい社会の実現に近づくことができるかもしれないと考えました。
──なぜ若いうちから独立を目指していたのでしょうか?
杉本さん:
環境と性質でしょうかね(笑)。
環境という点では、父が経営者であること。16歳から働いていたBOOKOFFでは、大学生で経営者になるシステムがあり、周りにはチャレンジ精神あふれる方が多かったんです。そんな環境の中で働いていたせいか、ずっと雇われて働くということが想像しずらかったですね。
性質という点では、学生時代から「同じ時間に同じ場所に行く」「決められたことを同じようにする」というルーティンや思考が合わず、ストレスを感じていたんです。日々、違うところに行き、新しい発見をしたい、自分の時間は自分でカスタマイズしたいと思っていました。10代のうちから、いわゆる一般的な会社員には向いてないのかもと。
フリーランスになることや会社を立ち上げることだけが価値のあることとは考えてはいません。たまたま私にとっての心地よさがそこにあったというだけだと思っています。
──会社経営をして考え方などは変わりましたか?
根本的な考えかたは変わっていないと思います。仕事は、人が豊かに幸せに生きるための選択肢。会社は、社会貢献をするためにあるもの。これは10代のころからずっとある思いですね。
物理的に変わった点は、仕事と暮らしのバランスがとり易くなりました。フリーランス時代は個人プレーが基本ですが、いまはチームとして動いています。子どもが急に熱を出したときなどはスタッフにサポートしてもらったり、遠隔でのミーティングなどの対応をさせてもらっていて、スタッフに助けられています。
もちろん私だけではなく、雇用形態に関係なく、働くスタッフみんなが家庭と仕事のバランスをとれる、チームとしてサポートし合える関係性・環境づくりを目指しています。
経営者としての顔と母親としての顔
──仕事と育児はどのようにバランスをとっていますか?
杉本さん:
基本的には仕事の時間は10時から17時までとしています。
平日の17時以降と土日が家庭の時間ですね。夜も子どもが寝てから仕事をすることもありますし、夫も仕事が忙しいので、家事は私が8~9割しています。
──すごくバランスよく時間の両立をされていますね!
杉本さん:
そうですね、そのためにも会社設立1年目~2年目にクライアント、スタッフとの関係性づくりなど会社の土台作りをしてきました。仕事と家庭の2つの時間を完全に分離しているというわけではなく、それぞれが重なり合っていると思います。
例えば業務改善は、女性が家事や育児を同時に行うマルチタスクスキルが活かせますし、育児での大変さや悩みも、会社で同じような状況のスタッフの思いに寄り添える。逆に仕事で学んできた理論的思考が、家庭の効率化や課題解決にもつながります。出産前は、仕事が全てという価値観でしたが、今は暮らすことも働くことどちらも、手放したくない、諦めたくない、大切なんです。
──家事と経営の両立
杉本さん:
家事が得意なほうではないので、仕事だと思ってしています(笑)。仕事と捉えることで、効率性上がりますし、自分が一番ストレスにならない家事の仕組みをいろいろ工夫してできるのでいいですよ。
最近、家事のアウトソースも取り入れていこうかと検討しています。家事力はマネジメントに通じるところがありますし、生活の基本だと思っているので、できるだけ自分でやることの重要さも感じながら、ここぞという忙しい時期には頼ろうかと思っています。
──今、仕事と出産の間で悩んでる女性にどんな提案をしますか?
杉本さん:
まず、自分のキャリアの棚卸をすることをオススメしますね。
自分がやるべきこと(MAST)、人に喜ばれることと(CAN)、やりたいこと(WILL)を洗い出す。そうやって自分の現状地点を客観的・主観的両方で把握すること。今働いている会社や転職したい会社、もしくは上司など、相手との交渉やゴール設定など期待値のすりあわせをする時にも自分を知っていることはとても大切なことだと思います。
それから、自分がどんなストレスに強くて、弱いのかを把握することも大事だと思います。
例えば、私の場合には時間を拘束されることがストレスの上位にくるのですが、新しいチャレンジやリスクを取るタフさはあるほうです。人によっては、決められていることを実行することのほうが得意で、新しく開拓するのが苦手な人もいますよね。苦手なストレスの質を知ることで、自分に合った環境を選びやすくなると思います。
──悩んでいる読者へ一言お願いします。
私も仕事と家庭の両立でたくさん悩んできましたし、今でもうまくいかない日もあって試行錯誤をしている途中です。いろいろな働きかた・暮らしかたを知ることで「こうでなくてはならない」という自分の思い込みを少しずつ手放してきたように思います。すぐには答えは出ないですが、その行動そのものが今につながっています。
「誰かの話を聞きにいってみる」「パートナーと役割分担について話してみる」「自分の手に職をつけてみる」どんなことでもいいと思うので、みなさんもぜひ自分サイズの一歩を踏み出してみてみるとまた違った景色がみえるのではないかなと思います。
──杉本さんの1日のスケジュール
10:00:スタッフ・クライアントと打ち合わせ等
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17:00:帰宅、保育園にお迎え、買い物
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18:00:子供との時間、夕食、家事
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20:00:子供寝かしつけ(一緒に寝る場合もあり)
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22:00:就寝(プライベートの時間を過ごす場合もあり)
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6:30:起床、身支度
編集後記:経営者でありながら、家事と仕事をバランスよく両立!!
仕事を充実させながら、出産後もしなやかに暮らしている印象の杉本さん。そこまでには大変な時期もあったと思いますが、働く女性の理想となるような、両立した暮らしをされていると感じました。
自分で時間調整ができるよう、妊娠を機に独立したという杉本さん。子育てと仕事の両立には、時間をコントロールできる環境が必要不可欠なのだなと、改めて感じたインタビューでもありました。
ママワーカー全員が起業をして、時間のコントロールをしよう!というのは難しい話ですが、今より少しでも柔軟な勤務体制の会社や、育児に理解のある会社へ転職することはできるのではないでしょうか。
Linableを運営している私たちは、どんな会社が社員にとって働きやすい職場なのかを追い求め、様々な会社の取材してきました。会社の取材を通して、IT企業の職場の柔軟さを目の当たりにしました。
皆さんがそんな会社に転職できるような土台を作りたいと思い、未経験からのプログラマーの育成と転職までを一貫してサポートを行っています。
「女性が働きやすい環境を手に入れるためのスキル」を身に付けられるように作られたプログラミングスクールのGeekGirlLaboで学び、プログラマーへの転職を応援するGeekGirlCareerで転職をしてキャリアを形成するのはいかがでしょう?
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