インタビュー キャリア

出産とキャリア分断。インテリアデザイナー今村さんの出産後に選んだ働き方──株式会社meguri

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泉谷結

ふるさとの北海道を出よう!と思い立ち、単身東京へ移住。 ビューティ系のメディア営業に携わり、結婚後は派遣社員としてマーケティングの経験を積んだが、出産後の働き方に行き詰まりを感じる。 何かできないかと悩んでいた最中、自らがこぼした「エンジニアになりたい」という言葉を足掛かりに、プログラミングの勉強を始める。 営業時代に培った得意のテレアポスキルは、取材の時のインタビューにも力を発揮している。 人を安心させる笑顔と確かな実行力で、働く女性の環境をより良くできるよう、絶賛奮闘中。

前回、株式会社meguri代表取締役の杉本綾弓さんの記事に引き続き、お話を伺ったのは株式会社meguriでマネージャーを勤める今村まりさんです。

meguriさんへ入社する前は、空間デザイナーとしてのキャリアを活かして、ご自分でカフェスペースを設計。ご夫婦でカフェとシェアスペースの機能を備えた、古民家の運営をされていました。また、お子さんの出産を機にキャリアを分断。出産後の働き方をどうしていこうかと考えていたところに、杉本社長との出会いがありました。

そんな今村さんに、現在までの歩みと杉本社長との出会いのお話を伺いました。

プロフィール

株式会社meguri
マネージャー:今村まりさん

大学卒業後、ロンドンにてインテリアデザインを学ぶ。
帰国後、インテリアコーディネートやリノベーションなど住まいのコンサルティングを生業とする。

その後、料理教室で講師やカウンセリングを行うかたわら、自主事業として立ち上げたコミュニティカフェで店主をつとめ、お客さんのよろず相談役となることも。妊娠出産後、仕事を見直すタイミングでmeguriに参加。生まれ持った「常に整理整頓をする性質」と、仕事の経験の中で身につけた「聞く力」を活かし、バックオフィス改善のコンサルタントとして日々邁進中。興味関心は「空間と食とコミュニケーション」。個人的なミッションは「整えて、楽にする」。1児(男児)の母。

インテリアデザイナーとしてのキャリア形成

──今村さんのご経歴を教えていただけますか?

今村さん:
私の経歴で一番長いのは、住まいのインテリアに関わる仕事です。

子どもの頃から自分の部屋を機能的かつ居心地がいい空間にすることが好きで、毎週のように模様替えをしていました。大学生になり家を出て一人暮らしを始めてからよりその思いが強くなり、大学卒業後、ロンドンへインテリアデザインの勉強をしに留学しました。帰国後、インテリアの販売コーディネーターとして働き始めました。販売コーディネーターとして働くにつれ、自分でデザインを作る仕事がしたいという思いが強くなり、住宅のリノベーションをしている会社へ転職することにしました。小さな工務店でしたので、営業、設計デザイン、材料や職人さんの発注、スケジュール調整や現場指示までをトータルで行っていました。2回ほど会社を変えましたが、足掛け5年ほどインテリア業界で働きました。

──その後は、どんなお仕事をされていたのですか?

今村さん:
30歳の時に大きな方向転換が訪れました。リノベーションの会社を退職したあと、飲食業界に転職しました。大学時代から「心地良い空間で食事を囲むことで人と人が繋がる場所をつくりたい」という夢をもつようになり、「いつか自分の店を」と漠然と考えていました。その「いつか」はもっと先の将来と捉えていたのですが、29歳で結婚した夫が「街づくり」の会社を起業したことにより急にチャンスが訪れたのです。夫が、街づくりの一環として「一つの場所からの繋がりが、町にコミュニティを広げていく」ということをコンセプトに事業をはじめることになりました。そこで、浅草の古民家を改修し、1階をカフェスペース、2階を夫の事務所、兼シェアオフィスとして運営することが決まり、私が家の改修とカフェの運営を担当することになりました。家の改修にはそれまでのリノベーションの仕事の経験を活かし、プロに一部工事をお願いする以外はほとんど自分たちでつくりました。ただ料理は得意ではあったものの、仕事として提供したことはなかったので自信がありませんでした。改めて勉強するために料理教室に転職し、講師として働きながら学び、並行してお店の立ち上げ準備を行いました。

出産後にキャリアの転身

──お子さんが産まれたのはいつ頃ですか?

今村さん:
カフェを立ち上げてから2年ほど経過した、2013年に子供を出産しました。

カフェの運営は立ちっぱなしの仕事になるので、お腹が大きくなってからは、カフェに日替わりのオーナー制度を導入しました。地域のコミュニティへの貢献を大切にしてくれる方にレンタルすることで、私が店に常に立たなくてもスペースの目的を果たすことができました。

その後、シェアスペースを移転したことでカフェも閉店したため、出産後は夫の会社のバックオフィス業務を担当していました。実はこの出産前後が仕事について一番悩んだ時期でした。それまではとにかくやりたいことに突っ走ってきた人生が、出産で大きく変わってきました。
子供との時間を大切にしたい。でも働くのが好きで、子育てだけでは息が詰まる。とはいえ体力勝負のリノベーション業界に戻れる自信もないしブランクもできてしまった。インテリア販売や飲食系の店舗で働くと土日勤務が必須になる。そんなことを悩むうちに「そもそも私は何の仕事がやりたいんだろう」という根本的な部分まで揺らぐようになってきて、子どもを抱えながら悶々とする日々でした。

meguriの社長である杉本さんとの出会い

今村さん:
代表の杉本とは夫の仕事を通して出会いました。お部屋探しをしている杉本さんに物件の案内をすることになったんです。

無事に物件も決まった数日後、唐突に杉本さんからお仕事のオファーを頂きました。フェイスブックで私がアップした料理の写真みて、「整理が得意そう、細かい仕事ができそう」と期待いただいたようです。杉本も当時出産したばかりで子育て真っ最中だったため、子どもがいる母親への働き方に理解がありました。私も迷っているばかりでは先に進まないと思い、オファーを受けることにしました。最初は短期の事務作業のお仕事だったのですが、業務をはじめて2ヶ月ほどたった頃に「業務改善コンサルをやってみないか」とお話をいただきました。未経験の業種なので不安はありましたが、「自分が何か役に立てるなら」とチャレンジしました。
正直初めは本当に仕事を覚えるのが大変で、子育てをしながら精神的にも体力的にもエネルギーを毎日使い切ってクタクタでした。ところが、未経験なりに毎日必死でこなしているうちに自分の特技や特性を活かせる仕事なのだと気づき、むしろ仕事にのめり込んでしまいました。そして、仕事に迷いがなくなったことで、家事や子育てに悶々とすることもなくなりました。今後は、自分の経験と特技を活かしながら、これからを生きる人たちが心身ともに健やかに過ごせる社会をつくるお手伝いを続けていけたらと考えています。

──仕事と家事の両立のコツを教えてください!

今村さん:
もともと家事は得意なほうで、出産後に家事が大変になったという印象はあまりありません。コツは、自分のルールを決めておくこと、溜めずに小まめに行うこと。家事をやる手順や時間を毎日同じにすることで、無駄な時間を作らないようにしています。

洗濯も掃除も食器の片付けも溜めてしまうと面倒なので、小まめに毎回コツコツやることです。とは言え、家事が苦手な人にとっては小まめにやることがそもそも嫌でしょうから、サービスや道具に頼ることも大事かと思います。ちなみに、道具の使い勝手は家事の効率に大きく影響しますよ。

──キャリアに悩んでいる読者へ一言お願いします。

今村さん:
私は思いがけず自分の特技を発揮できる環境に出会うことができましたが、そこで学んだのは「まずはやってみる」そして「相手に求められる役割を果たす」ことの大切さでした。

経験がないなりに、時間がないなりに、限られた条件のなかでできることをやり切ることが重要だと思い知らされました。私はどちらかというとネガティブに考えがちなタイプだったので「条件が限られているからできない」と思いがちだったのですが、今は「限られた条件の中でなにができるか」を考えることをいつも意識するようにしています。

編集後記:自分やりたいことを実現し、得意を仕事につなげた今村さん

自分のやりたいことを形にしてきた今村さん、現在は業務コンサルタントのお仕事をしていますが、今の業務の延長線上で自分の今までのキャリアを活かせるようにしていきたいとおしゃっていて、素敵だと思いました。

働く女性にとっての悩みの種であるキャリア分断。出産後、今村さんのように、得意なことが仕事につながればいいですが、現実はなかなかうまくいかないものです。将来の働き方に悩まないためにも、今のうちから手に職をつけて出産後の働きかたをリメイクしてみるのはどうでしょうか。今から勉強して仕事ができるようになるまで、簡単なことじゃないと思われがちですが、例えばITスキルだと、元々あるスキルと掛け合わせて仕事になる場合もあります。また、出産後に勉強してプログラマーに転身したというケースも少なくないですよ。

このサイト(Linable)を運営している私たちは、「女性が働きやすい環境を手に入れられるように作られた」プログラミングスクールのGeekGirlLaboを運営しています。

GeekGirlLaboは自宅で学べる通信講座制で、時間の制限がないため、自分のペースで勉強することができます。また、卒業後の転職支援も行っており、キャリア形成のお手伝いもしていますので、詳しくは下記サイトをご覧ください。

手に職をつけて、自分らしい働き方を手にしましょう!

-インタビュー, キャリア

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