
萩原 由紀

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4時間残業すると女性の睡眠時間はどのくらいになる?
まずは、会社での残業が、どのくらい女性の睡眠時間を削ってしまうのか確認してみましょう。
NHK放送文化研究所が5年に1度行っている「国民生活時間調査」。その2015年のデータによると、20歳~59歳までの既婚女性が家事に使う時間は下記の通りだそうです。
- 子供なし・・・4時間13分
- 子供あり・・・6時間33分
この数値を参考に、いま、まだ子供が一人もいない既婚女性が、下記のような条件で仕事をしている際の一日の時間配分を計算してみましょう。家事の時間は、約4時間としました。
- 仕事の拘束9時間(うち昼休み1時間)
- 残業4時間
- 家事4時間
- 通勤往復1時間
- 生活時間(食事・入浴・トイレなど)1時間
ここまでの合計は19時間です。趣味や楽しみの時間を一切持たなくても、睡眠時間は5時間しか確保できないことになります。
ペンシルベニア大学とワシントン州立大学で行われた実験によって、睡眠時間が6時間以下の場合、寝不足の蓄積で認知機能・注意力・運動神経などが低下していくことが分かっています。
元気に仕事をしながら毎日を過ごすには、十分とは言えない睡眠時間ですね。
仕事と不妊その2:睡眠時間との関係
では、この睡眠不足の問題は女性の不妊とどう関係しているのでしょうか。
山口大学医学部産婦人科の杉野教授たちの研究によると、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが、女性の妊娠や卵子に下記のような影響を与えるそうです。
- メラトニンを投与した女性グループは、受精率が上昇し、19.6%の妊娠率となった
- 投与されなかった女性グループの妊娠率は、変化なかった
- 排卵の過程で、酸化ストレスがかかると卵子の成熟の妨げとなる
- 卵胞液中のメラトニンの抗酸化作用が、卵子を保護している
- メラトニンの投与が卵子の質を改善し、受精率や妊娠率の向上の助けとなる
メラトニンは、脳の松果体(しょうかたい)から分泌され、人を眠りにいざなったり、抗酸化作用によって新陳代謝を促したりする働きを持っています。
メラトニンは起床から14~16時間ほどで分泌が開始され、どんどん分泌量が増えていき、朝の光を浴びることで分泌が止まります。
メラトニンは「光」によって分泌が抑制される特徴があるため、夜中まで蛍光灯の下で残業をしていると、分泌量が減ってしまいます。
メラトニンの減少により、卵子が成熟しにくくなると、不妊解決を阻害する要因となり得ます。
仕事と不妊その2:見逃せない仕事と治療両立の難しさ
また、不妊治療を選択した場合の困難さも、把握しておく必要があるでしょう。
方法にもよりますが、不妊治療は多くの場合、月に何度もの通院が必要になります。
そのたびに会社を休むことになりますが、通院は生理周期と合わせるため、予定していた日が急に変更になることも。
この調整の難しさで、常勤での仕事を諦める女性は少なくありません。
長時間残業をしていると、生理周期もずれやすくなりますから、さらに不妊治療の困難さが倍増しますよね。そもそも、通院の日の休みが確保できないかも知れません。
もともと仕事との両立が難しい不妊治療ですが、残業時間が長ければ長いほど厳しさを増すことは、頭の片隅に置いておく方が良さそうです。
仕事と不妊その3:着眼点を変えて
不妊治療と、仕事との両立の難しさがストレスを呼び、女性の体にさらなる悪影響を及ぼす可能性はゼロではありません。
もし、仕事か不妊治療かで疲れてしまっているのであれば、仕事より不妊治療を優先させる方が、合理的と言えるでしょう。
女性が人生の中で出産できる時期は限られていますし、子供の養育には20年前後の月日がかかるからです。
しかし、仕事より不妊治療を選んだからと言って、女性が「やりがいある仕事を諦めた」と感じる必要はないと、筆者は考えています。
「諦めた」と捉えるのではなく、不妊治療中は、出産後にキャリアアップして仕事を再開するための準備期間と考えれば良いのです。
もしすぐに妊娠できても、出産までには10か月の期間があります。
つわりがひどかったり、体調が不安定でない限りは、出産後にやりたい仕事の資格を取ったり、スキルを身に付けるには、十分な期間ですよね。
退職して不妊治療に専念する場合は、あまり悲観的にとらえず、着眼点を変えて、「仕事と家庭どちらの将来も楽しみできる期間」にしてしまいましょう。
女性の生涯キャリアを考えるなら
おすすめは自宅勤務が可能なスキル
ここまで述べてきたように、女性のキャリアは出産や育児、場合によっては介護などのライフイベントによって分断されやすい傾向にあります。
不妊治療中に将来に向けたスキルの勉強をするなら、雇用されながら自宅で仕事ができる、「リモートワーク」が可能な業界・企業を目指してみてはいかがでしょうか。
リモートワークで仕事をする女性に聞くと、子供の帰宅を家で迎えられたり、通勤時間がない分、家事をすることができるため、朝から晩まで職場に拘束されるより、仕事と家庭の両立がしやすいようです。
パソコンの使用やネットワークの整備などにより、現在のところ、リモートワークの導入はIT業界が積極的です。
ITと聞くと、男性向きの仕事で難しそう・・・そんなイメージをお持ちの方もいるかも知れませんが、ホームページやショッピングサイトなどを作るWebのスキルであれば、初心者でも習得しやすく、デザイン面などで女性のセンスも活かせます。
このサイトは、GeekGirlLaboという、女性が手に職をつけ幸せに生きることを応援するプログラミングスクールが運営しています。
カリキュラムは女性が理解しやすいことを追求して作られており、受講期限のない通信制であるため、自分のペースで勉強を進められます。
このスクールでは女性のためのIT企業転職サービスGeekGirlCareerも提供しており、初心者向けのWeb制作コースを受講して、就職サービスでWeb制作会社などへ就職が決まれば、お祝い金の支給で受講料が実質無料になります。
高額な不妊治療と平行して学ぶなら、なるべく出費を抑えつつ目的を果たせるこのスクールは、最適かも知れません。
また、Webのスキルがあれば、自宅でお小遣い稼ぎができますから、不妊治療が長引いたときの経済的な助けにもなるでしょう。
実際にリモートワークを目指すなら、一度アルバイトでも良いので、IT企業に就職して経験を積む必要があります。
不妊治療中にいきなりリモートワークでの就業を目指すことは難しいのが現状ですが、将来を見据えて、準備をしておくことはできるかと思います。
我が子との未来を楽しみにしつつ、ご自分の未来も、じっくり、ゆっくり、計画してみてくださいね。