萩原 由紀
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「均等法」は職場での男女の差別をなくす法律
「均等法」または「男女雇用機会均等法」という通称で知られる法律は、正式名称を「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」と言います。
セクハラを含む職場における男女差別をなくすための法律で、昭和47年に制定された「勤労婦人福祉法」が昭和60年に改正されて、現在の名称となりました。
時代の流れに合わせて何度も改正されており、平成9年の改定で、セクハラの防止措置を取ることが事業主に義務付けられています。
法律での規定その1:性差別の禁止
第6条では、就業中の労働者の取り扱いに関し、性別を理由とした下記の差別を禁止しています。
条文内で直接的にセクハラを禁止しているわけではありませんが、仕事をする女性が経営者からの理不尽な仕打ちから身を守るうえで必要な知識になりますので、これは覚えておきましょう。
- 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
- 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの
- 労働者の職種及び雇用形態の変更
- 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新
引用:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律条文より
※この法律では、男性であることを理由とした差別も禁じています。
法律での規定その2:セクハラに対して事業主の講ずるべき措置の内容
セクハラに関する規定は、第11条に明記されています。
引用:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律条文より
事業主が定めるべき「雇用管理上必要な措置」の具体的内容は、条文の中ではなく、厚生労働省の指針の中で定められています。
事業主が講ずるべきセクハラ防止措置10項目
- 職場におけるセクハラの内容と、それを禁じる方針を作成し、周知・啓発すること
- 行為者へは厳正に対処する旨を就業規則等で定め、周知・啓発すること
- 相談窓口を設置すること
- 窓口の担当者が、内容や状況に応じて適切に対応できるようにすること、また相談には広く応じること
- 事実関係を迅速に、そして正確に確認すること
- 事実確認ができた場合、行為者へ適切な措置を講じること
- 事実が確認できなかった場合も含め、再発防止策を講じること
- 相談者や行為者のプライバシーを保護し、また、保護することを周知すること
- 相談したこと、または職場からの調査に協力したことを理由として不利益な取り扱いをしないよう周知すること
これらを実施していない事業主は、労働局からの指導などの対象となります。
法律での規定その3:セクハラトラブル解消のための手順
第15条以降では、紛争解決、つまりセクハラのトラブルを解決するための決まり事が書かれています。
- 事業主は、労働者からセクハラの訴えを受けたときは、職場内の苦情解決処理機関(相談窓口)にゆだねるなど、自主的解決に向けて努力する(努力義務※1)
- 労働局長は、トラブルの当事者の片方、または両方から相談を受けた場合には、当事者に対して助言、指導または勧告を行うことができる
- 労働局長は、トラブル解決のために必要だと判断した場合には、紛争調整委員会に調停を行わせることとする
※1「努力義務」・・・違反しても罰則がかからない義務
ここで書かれている「当事者」には、事業主も含まれます。
法律の規定上で事業主側ができることとしては。企業内での自主的な解決を目指すことと、労働局へ相談に行くことです。
また、被害を受けている女性側ができることは、事業主や企業の相談窓口に相談することや、労働局へ相談に行くこととなります。
法律でのセクハラ規制のポイントは「防止措置の義務」
法律という切り口でセクハラのトラブルを考えたとき、「防止措置が事業主側に義務付けられている」ということがポイントとなります。
被害にあった時、自分が悪いのではと考えてしまう人がいますが、防止の義務は会社側にあるのだということを忘れないでください。
中小企業などでは、改正が重ねられていく労働各法のチェックまで手が回らず、義務付けられているはずの相談窓口が設置されていないことがあります。
企業内での相談窓口が設置されていなくても、まずは人事や上司などに相談できれば理想的です。しかし、社内を頼りづらいと感じる場合には、労働局へ行ってみましょう。
現実問題としてのセクハラ対応
法律では事業主の防止措置義務が定められ、調停まで視野にいれた決まり事がされています。しかしながら、現実的にセクハラへの対応を軽視した企業があることも事実です。
そういう場合、労働局が調停を提案してくれても、「そこしてまでこの会社にいたくない」と思うこともあるでしょう。
もし企業の対応が悪く信用できなくなり、転職を考えたときには、転職サービスの利用を検討してみてください。
セクハラは人と人とのトラブルですので、100%の防止は難しいところですが、転職サービスを通して転職先の社風に関する情報を集められれば、信用に足る企業かどうかつかめるでしょう。
女性の社会進出を受けて、最近は女性専門の転職サービスも登場して来ています。
筆者が把握しているものとしては、GeekGirlLaboの転職サービスなどがそれに該当しますので、興味がある方は一度ホームページを見てみてください。
また、転職を視野に入れるなら、自宅で開業できるようなスキルを身につけて、独立開業してしまうという手段もあります。自分が事業主になれば、セクハラする上司はいなくなります。
もしくは、最近IT企業で導入され始めている「リモートワーク」(在宅勤務)を目指すという手もあります。
この場合、組織には所属しますから、セクハラの可能性はゼロにはなりませんが、長い目で考えた時、育児などのライフイベントとも平行しやすくなりますから、女性向けの就業形態と言えそうです。
リモートワークを目指す場合には、まずIT企業で経験を積み、実力がついてから導入企業へ転職するとスムーズでしょう。
先述のGeekGirlLaboは、筆者がプログラミングを学んだ通信講座を開講しているスクールでもあります。
GeekGirlLaboの転職サービスでは、初心者OKの求人や、リモートワーク導入企業に関する情報を豊富に持っていますから、一度相談してみることをおすすめします。
今なら、転職サービスで就業を決めれば10万円のお祝い金が出るそうです。Web制作コースが98,000円で受講できますから、実質ゼロ円でスキルから就職先までゲットできてしまうこのチャンス、見逃さない方が良さそうですね。
女性には、女性ならではの働く上での悩みがあります。転職サービスでも、手に職をつけるためでも、「女性の生き方」を理解して寄り添ってくれるサービスを探すと、いろいろな選択肢が見えて来ますよ。
ちょっと横道に逸れましたが、法律に話を戻すと、国による法律の整備は社会が変わるための大前提となります。実際、法律の整備によって、セクハラとは人権侵害なのだという考えが社会に浸透しました。
これからも女性が活躍しやすい日本にするため、法整備を進めていって欲しいものですし、女性側も「待ち」の姿勢ではなく、手に職をつけて、現在の自分が生きやすい方法を模索していってもらえればと思います。