パワハラ 職場の悩み

働く女性は知っておきたい!事例から分かるパワハラ対策のヒント

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萩原 由紀

産業カウンセラー、第一種衛生管理者。 前夫との離婚をきっかけに、人材派遣業の世界へ飛び込んだインドア女。営業としてキャリアを積み支店管理者まで勤めたが、再婚を機に、自営業の夫を手伝うか自分のキャリアを追求するか迷い、思い切って退職。Webのスキルを学ぶ。現在は、ある組織に勤めシステム管理と衛生管理を兼任する傍ら、フリーランスとしても自宅で仕事をしている。
jirei厚生労働省の調査によると、パワハラを野放しにしている企業は、なんと4社に1社。さらに、働く人たちの3分の1が被害を経験しており、決して「対岸の火事」ではありません。もし被害にあったときは、どう対応したらよいのでしょう?それを知るために、3人の女性の実体験を取材してきました。これらの事例を通じ、彼女たちがどのように対応し、どういう結果にたどり着いたのかを知ることで、対策のヒントを探ってみたいと思います。

女性が受けたパワハラ事例1:存在を無視される

小林真理子さん(仮称):26歳、事務職

小林さんのパワハラ経験を聞かせてください

kobayashi子供が幼稚園に入ったタイミングで、今の職場に入社しました。新しい環境でただでさえ不安だったのですが、配属先の課長がどういうわけか、挨拶しても返事をしてくれません。私に頼む仕事でも、先輩経由で指示が来て、直接話してくれることもありません。さらに、私・A先輩(女性)・課長と3人で打ち合わせをしても、課長がその結論を部署内に報告する際には「Aさんと打ち合わせした」と言われて。私がA先輩に教わりながらやった仕事も、課長には「Aさんがやった」としか言ってもらえず、私はいてもいなくても同じなんだなと思い、本当に傷つきました

その後、どのようにしましたか

同じ部署内の人たちに相談したところ、話をしっかり聞いてくれて、課長以外の人にも仕事の仕方について聞いていいんだと教わりました。質問できる先輩が増えたことで、少し状況の感じ方が変わったかなと思っています。そのうち課長も異動になるでしょうし、とりあえず、今は一人前に仕事をこなせることを目指しています。

小林さんの事例のポイント

課長の態度は変化していませんが、本人の感じ方に変化が出て、現在も仕事が続けられています。良い方向に向かったポイントとして、下記2点があげられます。

  • 周囲の人に相談できたこと
  • 小林さんの相談に乗ってくれる同僚がそろっていたこと

女性が受けたパワハラ事例2:毎日理不尽に怒鳴られる

瀬山珠美さん(仮称):32歳、営業事務

瀬山さんはどんなパワハラのご経験をされましたか

seyama新卒のときの話ですが、保険会社の営業事務職をやっていました。10歳年上のB先輩(女性)と一緒に組んで仕事をすることになったのですが、その人がとても曲者で。仕事のやり方は説明してくれるのですが、質問すると「なんで知らないの」と怒鳴り始めて、聞ける状態ではありません。5,000枚の印刷物を3時間で折って封筒に詰めて発送しろと言われ、それ自体も無茶な時間設定なのに、その間に「今すぐコーヒーを淹れて」と指示に来たり。あげくの果てに、仕事の終了を報告に行くと、「あなたに何を頼んだのかなんか覚えてない」と怒鳴られる毎日で、しょっちゅうトイレで泣いていました

その後、瀬山さんはどうしたのですか

3年目くらいまでは、職場の別の先輩や契約社員さんたちにパワハラを相談していました。みんなが同情してくれて、B先輩の代わりに仕事を教えてくれたんです。そのうち、どうやらパソコンの仕事はB先輩より私がはるかに得意だということが分かってきましたし、仕事にも慣れて自信がついてきました。「あなたに何頼んだか覚えてない」と言われれば、「Bさんに頼まれたことです、思い出してください」ぐらいに言い返せるようになったんです。そうしたら、B先輩が突然、私のことを「せー様」と呼び出して下手に出るようになって。言い返せる人には、強く出られない人だったみたいです。

瀬山さんの事例のポイント

瀬山さんの事例では、下記が良い方向に動かすきっかけになっていますね。

  • 別の先輩や契約社員の人たちに相談した
  • 仕事の経験を積み、得意分野を理解して、自信がついたこと
  • B先輩に言い返せるようになったこと
  • B先輩が、言い返す人には強く出られない性格だったこと

この中でも特に、自信がついたという要素が大きい影響力を持っていますね。

女性が受けたパワハラ事例3:所属長に話しかけてはいけない

田中ひろえさん(仮称):41歳、広報担当

田中さんの経験したパワハラはどんなものでしたか

tanaka勤務して数年目でしたか、10月の人事異動で新しい所属長が来ました。まず初日に、部署の女性職員だけを集めて、「女は私語が多いから、仕事中は仕事の用件以外しゃべってはいけない」という話がありまして。私たちが私語をするのかも知らないうちからそんな話をするなんて、とんでもない偏見を持った人が来たなと思いました。それ以降も、「女は所属長に直接話しかけてはいけない」、「女は企画書を作るな」など、仕事に支障の出る指示ばかりが出て、非常に嫌な気持ちになりましたし、仕事も滞り途方に暮れました

田中さんはどのように対応したのですか

仕事をしている中で、その所属長が職制をとても大切にするタイプだと分かったのです。「所属長だから、非正規職員とは直接会話しない」「たとえ談笑であっても、部下は自分を通さずに直接部長と話すことは許されない」など、自分が思う身分制度を徹底していました。そこで、所属長に見つからないよう、さらに上の上司に相談をして、女性職員からも企画書を上げさせるようトップダウンで指示してもらいました。それによってようやく、自分の仕事ができるようになりました。ただし、その所属長の価値観が変わったわけではないので、のびのび仕事ができません。これでは自分の成長も見込めないので、正直言えば、転職も視野に入れながら仕事をしています。

田中さんの事例のポイント

田中さんの事例では、特に所属長の行動が改善はされていませんが、仕事のやりにくさの改善という点では、下記がきっかけになっています。

  • 所属長の思考の傾向を把握することができた
  • 所属長のさらに上の上司に相談した

この事例は、性別を理由とした嫌がらせですので、セクハラの要素も含んでいます。意識の改善には、会社からの継続的な働きかけが必要になってくると思います。

パワハラを受けたらどう行動したら良いのか

ここまで、3つの事例を見て、そのポイントを書き出してみました。共通しているのは、どのケースも「誰かに相談して協力を得ている」ということです。このサイトで、セクハラの解決事例を取材していますが、ちょうど同じような結果となりました。

対策としては単純なことのようですが、人は心の底から悩むと、「自分が悪いのか」「仕事だからしょうがない」などと考え、相談ができなくなってしまうことがあります。悩んだ時はまず、会社の相談窓口があればそこに、ないのであれば労働局に行ってみてください

パワハラなどのハラスメントは、組織全体の問題です。根本的な解決には、会社の協力は不可欠ですので、会社の動きを引き出すためにも、まず一人で抱え込まないことが大切です。

もしパワハラが解決しなかったら

ここで取り上げた事例はどれも一定の解決は見ていますが、会社によっては、まったく対応してくれないところがあることも事実です。
パワハラは学校でのいじめと同様、被害者の精神面をむしばみます。うつを発症して休職を余儀なくされることもありますので、もし会社が対応してくれない場合には、転職も視野に入ってくると思います

転職は、スキルを身に付けていた方が有利に運びます。筆者が最近、女性におすすめしているのは、Web制作などのITスキルです。

転職にも役立ち(IT企業以外でもITリテラシーが高いということは重宝されます)、近頃はリモートワーク(在宅勤務)という雇用形態を取り入れたIT企業も出てきていますので、やろうと思えば自宅で仕事をするという選択もできます。

出産や育児でキャリアが分断されがちな女性ですが、ITスキルがあれば、柔軟に勤務スタイルを調節しながら仕事を続けられます

筆者は、女性が理想とする働き方の実現を応援するGeekGirlLaboという通信講座で、プログラミングを学びました。カリキュラムは、女性に分かりやすく作られており楽しく学ぶことができましたし、独立開業の応援もしてくれるので、とても心強く感じました。

更にこのスクールでは、IT業界で経験を積みたい女性のための転職サービスGeekGirlCareerを行っています。

リモートワークを目指すなら、こういった転職サービスを利用して就職を決め、まず実力をつけ、それから再度リモートワーク導入企業へ転職するというステップを踏むことがおすすめです

仮にあなたがいまWeb制作の知識がゼロでも、このスクールで学び、転職サービスで転職先を決めれば、祝い金が出て受講料が実質ゼロ円になるそうです。

人を変えることはできなくても、自分を変えることはできます。GeekGirlLaboのようなサービスを目いっぱい活用し、新たなスキルを身に付けてパワハラのある環境から脱出するのは、一つの解決法ではないでしょうか。

-パワハラ, 職場の悩み

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