セクハラ 職場の悩み

セクハラ防止は事業主の義務~企業がするべき10の対策~

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萩原 由紀

産業カウンセラー、第一種衛生管理者。 前夫との離婚をきっかけに、人材派遣業の世界へ飛び込んだインドア女。営業としてキャリアを積み支店管理者まで勤めたが、再婚を機に、自営業の夫を手伝うか自分のキャリアを追求するか迷い、思い切って退職。Webのスキルを学ぶ。現在は、ある組織に勤めシステム管理と衛生管理を兼任する傍ら、フリーランスとしても自宅で仕事をしている。
647bd4845c1fe01f966a538fedc8c9c2_s平成9年の男女雇用機会均等法の改正によって、セクハラ防止のための対策をすることが事業主に義務付けられたことは、ご存知ですか?その内容は10項目にわたり、厚生労働省の出した指針の中で定められています。セクハラのトラブルに巻き込まれたとき、会社側にどのような対応を求められるのかを知るため、その内容について、一つひとつ確認してみましょう。

防止義務その1:方針を明確化する

 企業はまず、セクハラ防止のための方針を作らなくてはなりません。定めるべき内容については、下記の通りです。

  • セクハラとはどんなものか・セクハラが職場内であってはならないことの明記

就業規則やその他の規律文書だけでなく、社内報やパンフレット、ホームページで周知しても構いません。方針を周知するため、社員向けの研修を行うことも、良しとされています。

防止義務その2:行為者への処分を決める

次に、行為者に対する下記のような規定を定める必要があります。

  • セクハラ行為者は厳正に対処する旨の方針と、その対処の内容

行為者への対処の内容、つまり懲戒規定のようなものを定めるということになりますから、就業規則や規律文書の中に、内容を記載する必要があります。

防止対策のその1とその2で共通しているのは、どちらも「社員へ周知しなくてはならない」ということです。
「どうやら社内に規定があるようだけれど、自分は見たことがない・・・」。そんな場合には、掲示場所または保管場所などを確認して、目を通しておきましょう。

防止義務その3:相談窓口とその担当者を周知する

規定を定めたら、実際のトラブルに対応するための相談窓口を設けなくてはなりません。厚労省の指針の中では、下記のような対策が講じられていれば良しとされています。

  • 相談担当者をあらかじめ定めておく
  • 相談のための制度を設ける
  • 相談への対応を委託する外部機関と、契約しておく

担当者は決まっているけれど、形式的で、実際のトラブルには対応してくれないような場合には、この項目を満たしているとは言えません。

防止義務その4:相談に対して適切な対応をする

窓口を設けたら、次は下記のようなことに留意して、その相談の質を確保しなくてはなりません。

  • 相談担当者が、人事や管理職と連携してトラブルに対応できるような仕組みを作る
  • 相談対応の基本となるマニュアルを策定しておく
  • 実際のセクハラトラブルになる前段階の相談なども、広く受け入れる

問題を軽視しての放置や、相談段階における二次セクハラなどが発生しないように求められています。
また、相談に乗る側にはスキルが求められますので、窓口担当者に相応の研修をすることも必要となってきます。

防止義務その5:事実関係を確認する

相談窓口に実際の相談が寄せられたら、事業主はその事実を確認しなくてはなりません。指針ではこの事実確認について、下記のように記載されています。

  • 被害者と行為者双方から事実の確認をする(もし双方の意見が食い違う場合には、第三者からも事実関係の聞き取りを行う)
  • 事実関係の確認が困難な場合には、中立な第三者機関に紛争処理を委ねる

ここでのポイントは、行為者側からも話を聞くという点です。会社側は指針に従って、公平な事実確認のために動きます。

防止義務その6:被害者に対して配慮や措置をする

事実の確認ができたら、会社として被害者への措置を行う必要が出てきます。その内容はケースバイケースですが、想定される配慮や措置には、下記のようなものが考えられます。

  • 行為者との関係を改善するため間に入る
  • 行為者と引き離すための人事異動
  • 行為者からの謝罪の場の設定
  • 被害者が精神的に不安定になっている場合の相談の手配
  • 第三者機関に調停を申し立てている場合、その内容に沿った措置

防止義務その7:行為者に対して措置を行う

セクハラの事実確認が取れた場合、行為者へ対しては、「防止義務その2」で規定したルールに従って、何らかの措置をすることになります。
規定や、行為者のやってしまったセクハラの具体的内容によって、措置の内容はケースバイケースとなります。

防止義務その8:再発防止策の策定・実施

被害者・行為者への措置が済めば終わり、というわけには行きません。企業としては次に、再発させないための対策を取る必要があります。
指針の中では、「防止義務その1」にある「方針」の再周知などが、この対策にあたるとしています。

なお、指針の内容はちょっと厳しく、セクハラの事実の確認ができなかった場合にも、再発防止策を行うよう規定されています。

防止義務その9:当事者のプライバシーを保護する

企業側は被害者・行為者双方のプライバシーを保護しながら対応をしなくてはなりません。これは、相談中だけではなく、セクハラトラブルが終結した後まで続きます。

プライバシーが守られていれば、安心して相談することができます。逆に、もし噂などが流れてしまうと、二次被害となり、被害者をさらに傷つけることになりますので、この項目はとても大切なことです。

防止義務その10:不利益な取り扱いの禁止

「不利益な取り扱い」とは、例えば、セクハラの相談をしたら面倒な社員だと思われて降格させられた、などのケースを指します。そういうことの無いよう、指針では下記のように定められています。

  • 不利益な取り扱いをしないことを定める
  • その定めを労働者へ周知する

これは、「防止義務その1」で書いた「規定」を作成するときに、その中に盛り込んでしまう企業が多いようです。

セクハラ解決は会社の対応次第

ここまで、指針に定められている10項目を確認してきました。あなたが所属する会社では、これらを守れているでしょうか。

セクハラは、人と人とのトラブルですので、どんなに会社側が啓発活動を行っていても、発生件数ゼロを確約することは非常に困難です。そのため、セクハラ被害にあってしまった際に、会社がどう対応してくれるかがとても重要となります。

当事者同士だけでは、行為者・加害者という関係を打破することは難しいでしょう。
もし会社が頼れない場合には、労働局にも相談窓口がありますので、そちらへ足を運んでみてください。

会社の対応に愛想がつきてしまったら

「会社が頼れない場合には労働局へ行けば良い」と言っても、実際に対応してくれない会社を目の前にすると、不信感から嫌気が差し、辞めてしまいたくなることは少なくありません。

セクハラが原因で転職する場合には、次の職場の「風土」を把握するために、転職サービスなどを利用して情報収集をしてみると良いでしょう。

筆者がプログラミングを学んだGeekGirlLaboでは、女性専用の転職サービスGeekGirlCareerをスタートさせました。女性ならではの悩みについて、相談しながら転職を検討できますので、ここにご紹介しておきます。興味のある方は、ぜひリンク先を覗いてみてください。

また、近年はパソコン等の普及が進み、独立開業する女性も増えてきました。転職の一環として、ちょっと視点を変えて、フリーランスという選択肢を選ぶこともできます。
こちらに関しては何らかのスキルが必要となりますが、比較的独立しやすいのが、プログラミングなどのITスキルです。

ITスキルの習得も、GeekGirlLaboがおすすめです。女性が習得しやすいカリキュラムを採用しており、独立開業も応援してくれます。

さらに、IT企業では雇われながら自宅で仕事をする、「リモートワーク」という勤務形態を導入している会社もあります。

独立開業は抵抗がある人でも、企業に雇われた立場で自宅で仕事ができることには、魅力を感じられるのではないでしょうか。

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こういったものは積極的に活用して、チャンスをものにしていきましょう。

労働局に寄せられるハラスメント等の相談の中で、セクハラ相談は6割弱を占めています。まだまだ女性が働きやすいとは言えない日本ですので、スキルを身に付けて、上手に世の中を渡り歩いて行ってください。

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